「かわいい子には冒険をさせよ」~すべての愛すべきお母さんたちへ

 2016年がまもなく終わろうとしています。皆様にとってこの一年はどんな年でしたか?

climbing-824373_640 今年最後の記事は『冒険』というテーマで書いてみようと思います。カウンセリングの世界に足を踏み入れ、自分に向き合い、自分が何者かを知ろうと必死に頑張ってこられた、勇敢なクライアントの皆様に贈ります。

 カウンセリングの道程は正に山あり谷ありの冒険ストーリーです。そしてそれは神話の時代から語り継がれてきた、私たちの魂の旅の本質を指しています。そう、魂は冒険を求めているのですね。

 そして冒険が始まるためには、『魂の危機』とも言える出来事が必要です。これが物語の『起』です。カウンセリングのドアを叩くためのきっかけです。だから、後々私たちは「あの出来事があったから、今の私がいる」と思える時が来るのですが、その時はとてもじゃないけどそうは思えません。

desktop-1753683_640 とにかく目の前の危機を回避しようと必死に立ち回ります。それはエゴの役割です。この世は目に見える陽の世界。肉体を守り養うこと、他者と上手く付き合っていくこと、などが必要とされます。そのために、“自己を守る”ことを最優先としたエゴというOSが与えられているのです。でも、魂オンリーの陰の世界では、実は危機は危機ではありません。魂は食いっぱぐれませんし、そもそも自分以外の他者は存在しませんから(笑)。

 しかし、エゴが優勢になった世界をエゴから見れば、誰も彼もが自分を守るためには他者を攻撃したり、ズルいことをしているように見えます。「自分を守るためには人より有利に立たなければならない。他人を見たら泥棒と思え…、油断してはいけない」そんな教えがまかり通っているわけです。

 そのため、人々は魂の欲求…「成長したい、愛したい」という本質からどんどん離れて行ってしまいます。それこそが『魂の危機』なのです。その危機感に突き動かされて、私たちは『本当の自分を探す旅』に旅立つことになるんですね。

 ところで、今年大人気だった真田丸。皆様は観ていらっしゃいましたか? その中で、どんどん存在感を増してきた大蔵卿局…。彼女の人物像は、多くのクライアントさんたちの母親にも重なって見えてきます。

ookurakyo 大蔵卿は我が子のように茶々と秀頼を深く愛していたのでしょう。そして「愛する我が子を守るためには、これが一番いい。それしかない!」と、信じていたのです。視聴者という第三者目線では、「この婆さん、また余計なことを…!」とコミカルに見ることが出来ますが、私たちの現実にはリアル大蔵卿がいたのですから、大変です。

 そして、私たち自身も『プチ大蔵卿』になってしまうことがあります。私の母の場合もやっぱり、身体の弱かった私を「この子は私が守らなければ!」と、大蔵卿さながら「エレクトーンの先生なら食べていける」とか、「テニス部?あなたには無理。それに手を痛めたらどうするの?」「高校受験は無理しなくてもいいから、この辺にしなさい」とか、押しの強い母の意向に従ってきたのです。まあ、エレクトーンはやめてしまったし、母自身に聞けば「あなたもそれでいいって言ったでしょ!」と言うかもしれませんが。

 母は、ただただ娘を守りたかっただけです。ただし、エゴの視点からしか私を見ることが出来ていなかったのです。魂はいつでも冒険のきっかけを求めているのにも関わらず、エゴはそのきっかけとなる試練を排除するためならなんでもします。子どもの宿題を自分でやってしまうお母さんも、砂場は汚いからと遊ばせないお母さんも、子どもの交友関係や恋愛や進路にうるさく口を出すお母さんも同じです。お母さんという生き物は、みんな大蔵卿になりうるのです。程度の差はありますけどね。ただし、どんな時も母親の愛はそこにある、というのだけは大前提です。だって「どうでもいい人」に対しては、これほどまでに必死になれないですからね。お母さんにとってあなたは、命に代えても守りたい存在である、ということです。たとえ方法が間違っていたとしても。

hand ところで、魂は傷つくことを恐れません(傷つくことは不可能です)。この世にやってきた目的は、葛藤から気づき、自分を拡大すること(真の自分を体現すること)だからです。ですから、いつか必ずその人の人生最大の試練は訪れます。いや、魂が自分で引き寄せます。私の場合は『ものすごく傷ついた男性との関わり』でした。母はもちろん大反対。相手を遠ざけようと頑張りました。でも、私の魂の要求のほうが母のエゴよりも強かったので、結果的に母を振り切りました(苦笑)。そして確かに生きるか死ぬかの大変な思いはしましたが、それがあったからカウンセリングにたどり着き、今の私がこうして存在しているのです。それ以前の私は、まるで『私のカタチをした人形』が、何かに操られているような感覚でした。自分が何者であるのか、何を感じているのか、まったくわからなくなっていたのです。そして、それこそが『魂の危機』でした。

 いまお母さんをやっているあなたは、もしも我が子に試練の時が来たら、「それを阻止しない」と覚悟して下さい。そして冒険へ送り出してあげて下さい。「傷ついたら、いつでもここへもどっておいで」と。「いつでも帰れる場所がある」と安心感があれば、私たちには信じられないほどの勇気が湧いてきます。

 いま、多くの人が『冒険を避けよう』としているのは、これまで親や祖父母や先生やありとあらゆる大人たちが「冒険を避けることが正しい」と教えてきたからです。まったく不思議な事ではありません。あなたのお母さんも、旦那さんもきっと同じです。食いっぱぐれないことを最優先として生きるよう、プログラミングされてしまったのです。

 とはいえ、「あなたたち、本当にそれでいいの!?」と叫びたいあなたの気持ちもわかります。でも、そう叫んでいるときの私たちは、やっぱりコントローラーになってしまっています。実は私も「病気の父にこんなにイライラしてしまうのはなぜだろう?」と自問して気づいたのです。「あのね、死ぬかもしれないって時に、まだ自分に向き合えないってどういうこと!?」と、「あなたの人生、他人任せで本当にいいの?後悔しても知らないよ?」というエネルギーが出てしまっていたと思います。

 でも、「後悔しても知らないよ?」というエネルギーは、相手を本当に応援しているでしょうか? 私もまた、原点に帰らねばなりませんでした。クライアントの皆さんはご存知ですね。『心配=不信』『愛=信頼』です。そして、「信頼して待つしかないんだなぁ」というところに落ち着いたのです。後日、父は自分で自分の治療方針を決めました。もしかすると、私や家族のエネルギーが、父の心を縮こまらせていたのかもしれません。そして逆に言えば、私の新しいエネルギーがいくらかでも、父を後押ししたのかもしれません

hiker-1149898_640 ということで、皆さんの子どもたちも旦那さんも、魂のレベルでは冒険を求めているはずですから、もう少し見守ってみましょう。「あなたはそれでいいの?」という目線は、「私はこんなに頑張ったけど、あなたはしないの?出来ないんだ。そう、呆れたわ。そんなものなのね」と、伝わってしまいます。それで彼らは「よし、自分も冒険に出かけよう!」と思えるでしょうか?「ああ、自分には冒険なんて無理!やっぱり安全な道を選ぼう…」とますます思ってしまうのではないでしょうか?

 そして「あなたは魂の旅に出るべきよ!それが一番いいんだから!!」というセリフも、コントロールの匂いがプンプンしますね…。コントロール臭がすると、人は必ず抵抗します。内容は違いますが、やってることは大蔵卿と同じです(^^;)。これは心理や精神世界を勉強した人が陥りがちな落とし穴です。

 今の選択が、我が子の人生の成否をすべて握っている訳ではありません。もしかしたらその先に、「ああ、失敗した。本当に求めていたのはこの道じゃなかった!」と、魂の目的に気づくためのきっかけがあるのかもしれませんよ。そこから彼らの冒険が始まるなら、それでいいんです。だって、私だって初めの35年はわけも分からず惰性で生きてしまいましたが、そこから冒険に旅立ったんですから(笑)。さあ、腹をくくってあなたの大切な人を見守ってみて下さい。きっと何かが起こります♪


 それでは、また来年。良いお年をお迎え下さい。


 心理カウンセラー 三浦  望